某ネトゲでの崩壊録 3
マンコが加入してからというもの、我々の関係は日増しにおかしくなるばかりだった。決定的だったのは、「貢ぎ」である。
我々のプレイしていたゲームにおいて、敵の攻撃は苛烈かつ即死攻撃などもある中、僧侶の使用する「蘇生魔法」は非常に確率の低いものであった。当然、蘇生確率を上昇させるレア装備はかなり高額で、リアルマネーで約5万円をゲーム内通貨に変換してやっと買えるかどうか、という相場が普通だったのだが、その装備をあろうことか、Aがボーナスを課金してマンコにプレゼントしたのである。
これに味をしめたマンコは、クレクレ行為を頻発するようになる。その範囲は多岐にわたり、装備や消耗アイテムからお使いクエストの代行まで頼むようになっていった。それに乗せられる哀れな子羊たち。正気を保っていたのは、過去にマンコクライシス (膣によってコミュニティを破壊されること) を経験済みのギルドマスターであったOと、同じくマンコクライシスの被害者M、それと私だけだった。
しかし、ゲーム内で正気を保っていたところで現実の波には勝てない。半年前に無職となり失業保険でネトゲ三昧であったOは、この頃からハロワ通いと資格取得に精を出すようになり、ギルドマスターの座を渡すことを決心。
ネトゲにおいてギルドマスターとはその名の通り「マスター」である。共有倉庫の管理や戦利品の分配は常務であり、今日の狩りの行き先までマスターの一存で決定することがあるのだ。
当然揉める。なんだかんだゴタゴタしていたが、結局Aがギルドマスターの座を引き継ぐことになった。今思えば、ここで猛反対できなかったのが私の最大の過ちであろう。
それからというもの、マンコの求心力とでもいうべきものは日増しに高まっていった。言いもしないのに貢がれるレア装備や強化素材にゲーム内通貨の数々、「〜行きたいですぅ」といえば即フルパーティが組めるようになり、収集クエストのクリアに必要なドロップアイテムは優先的にマンコに行き渡るようになった。
そして迎える、マンコの誕生日。数週間前から誕生日アピールを欠かさなかったマンコの元に、普段より数段高価なプレゼントが届く日である。Nくんは超低確率で現れるレアモンスターから超低確率でドロップする超のつく額のペットを、Yくんは課金ガチャを回して全身分を揃えた華美なドレスのアバター↓を、
そしてAはなんと、
ギルドマスターの座を。
かくしてギルドトップに君臨したマンコは、その権勢を欲しいままにし、毒牙を現実世界へと延ばしていくことになる。
こんなに長くなるとは。余裕で1記事に収まるレベルだと思ってたんですけど、どうも筆が乗ってしまって冗長ですね。
続きます。
某ネトゲでの崩壊録 2
マンコに私が干され始めてからというもの、私は極力ギルド内でPTを組み、ダンジョンに出かけることにしていた。
しかし折り合いの悪い日というのはあるもので、6人PTのうちヒーラーだけが足りないときが来た。普段であればヒーラーなしで回せる狩場を選択したところだが、その日は連休の中日だった。人も多く、稼げれば戦利品は高値で売りさばける。この日を逃す手はないと、メンバーのひとりが全体チャットで叫んだ。
「鉱山 高難度狩り数h ヒーラー@1」
ほどなくやってきたのはレベル55の僧侶、推奨レベル63の鉱山に挑むには装備もレベルも力不足。まともにステータスを見ずに招待を飛ばしたメンバーを叱責しようとキーボードに手をかけた瞬間、チャットログに文字が浮かんだ。
「よろです〜(﹡ˆ﹀ˆ﹡)」
全員に衝撃が走った。マンコだ。
まさかこの嫌われ者の私のPTに好き好んで入ってくる膣がいるとは誰も思っていなかった。不意をつかれた我々は、なされるがままに鉱山へ足を向けることになる。
ここでPT構成を確認しておこう。
忍者のYくん、司教のNくんとAくん、サムライ兼ギルドマスターのOくん、そしてマンコ僧侶、私。この6人だった。
以下、メンバーはこの名前で呼称しようと思う。
果たして狩場に到着した我々は、ヒール技術に一抹の不安を抱えながらも狩りを開始した。予想に反してプレイヤースキルはまともであったが、ステータス不足でじりじりと消耗していくマンコ。それを見守る我々。時間は刻々と過ぎ、やがて私は一つの違和感に気づいた。
後ろで魔法を撃っているべきAくんが、じりじりと前に出てきている。その立ち位置はまるで、マンコを流れ弾から守っているかのようだった。
私が注意すると大人しく引き下がるが、しばらくするとまた前に出てくる。やはりおかしい。この場の狩りに支障はないが、後できっちり問い詰めておくべきだなと心に刻んだころに、マンコがこんなことを言い出した。
「疲れちゃったんですけど、ちょっと休憩できませんか〜?^^」
舐めてんのかこのクソアマ。MMOは限られたリソースを如何に管理するかがキモであり、休憩など許されない。我々は72時間耐久狩りまでしたことのある仲であったので採択はされないはずだったが、ここでAくんの発言が投下される。
「おっけー、じゃあ休憩にしよう^^」
は?
明らかにおかしい。そう思ったが、紳士な私はPTチャットで問い詰めることはせず、まずはAくんにウィスパーで聞いてみる。
私:なんで休憩とか言ったん?
A:いや、マンコちゃん疲れたって言ってるんだしちょっと休もうや
私:普段休憩してないやろ
私:時間の無駄じゃん
A:お前そんなんだから童貞なんじゃねーの
私:いや男とか女とか関係ないやろ……
悲しいかな童貞である。なんかうまいこと丸め込まれて、15分ほど休憩を取った。
そして狩りの終わり、戦利品を売却しゴールドを分配したところで問題が発生する。
A:そういえばマンコちゃん、ギルドは?
マンコ:入ってないです〜
A:そっか!良かったらさ、ウチ来ない?
マンコ:え!いいんですか^^
あ???????
なんだこいつは。マンコに魅了の魔法でもかけられているのか?さすがに苦言を挟む。
私:さすがに急すぎでしょ
私:Yもなんか言ってやれ
Y:いいんじゃねえの
Y:やる気あるみたいだし
どうやらマンコの危険性に気づいているのは私だけのようだった。その場で声高に叫ぶこともできず、私は「このマンコはまともかもしれない」と祈ることしかできないままに、彼女はギルドに加入する運びとなった。
3に続きます。
某ネトゲでの崩壊録 1
あれは冬の始まり、こたつが恋しくなり始める頃のことだった。
とある友人に誘われて「難攻不落」を謳う某MMOをインストールした私は、あっという間にその虜となり1日15時間を費やす廃人と化した。総課金額は3ヶ月で50万を突破し、金にモノを言わせて露天で装備を買い漁り薄暗い迷宮にこもり続けているうちに押しも押されぬ名君主となった。
わかる方にしかわからない情報で申し訳ないが、当時の装備は全身+8まで強化したMaster防具ばかりで、防御力1700という数値を叩き出していた。平均的な最前線の君主は1100、いいとこ1200であったのを考えると(自分で言うのもなんだが)驚異的である。
他のゲームの例に漏れず盾役が不足していた環境で、いつでもログインしていてどのダンジョンにも対応できる私はギルド内ばかりでなくプレイヤーの中でも「便利な盾」としての立ち位置を得ていた。コール1つで呼び出せるクソニートというわけである。だがキャラは1人私は1人、必然的に同時に参加できるPTも1つ。
そこで現れるのがマンコである。
やつらはどこにでも生息する。そして強欲で、どこまでも貪欲な生き物だ。やつらからしてみれば私は「アタシの攻略を手伝うナイトの一角」なのだろうが、こっちはクソどうでもいい。媚を売られても優先的にマンコPTに入るなんてことはしないのである。
それが気に食わなかったのだろう、やがて複数のマンコが私を叩き始めた。当然取り巻きのナイト様たちも私を攻撃し始める。あの世界にはPK(プレイヤーキル。その名の通りプレイヤーキャラクターを攻撃し死体から装備やアイテムを漁る行為)が存在し、徒党を組んで襲われることもしばしばだった。
私は身内としかダンジョンに赴かないことを決めた。収入が減るのはマイナス点だったが、煩わしいプレイヤーを引き当てるのはもっとマイナスだからだ。
そうして半年が経ち、とあるヒーラーがギルドに加入した瞬間から、私の最大の崩壊劇が始まった。
筆を進めるうちに長くなってしまったので続きはまた書きます。
ネロ・ブライドの運用について
気まぐれで引いた10連で嫁ネロを引いたので、構築についていろいろと。
まずは本人のスペック。
HP14248/ATK11607
s1:味方単体、NP獲得上昇(3T)
s2:味方単体、ATK&スター発生上昇(3T)
s3:味方単体、HP[1000~3000]回復&防御上昇
宝具:敵単体、超強力ダメージ+やけど(5T)+防御低下(5T)+クリティカル発生低下(5T)
ステータスは13907/12343のアルテラと比べやや耐久寄り、宝具はArts属性と「耐久パのアタッカー」といった性能に見える。特筆すべきはそのスキル構成で、全てが対象指定となっている。これにより柔軟な対応が可能になり、事故があった場合も1人にバフを集中することで打開できる局面が増える。
おそらくArtsパに組み込むのが無難であろう。暫定のパーティ例はこちら。
コストの厳しさが目立つが、チャージ遅延要員であるオリオンをナーサリー・ライムに変えるなどで対応したい。コスト上限開放しろ庄司。
フレンドには孔明、あるいはヴラドであろう。時間はかかるが、絶対に攻略したいクエストの場合はジャンヌ・ダルクも選択肢に入るかもしれない。耐久に寄せる場合は酒呑童子をメディアリリィに入れ替えるのが効果的と思われる。
嫁ネロかわいいです。