「閃光のハサウェイ」を観て -ハサウェイ・ノアという男

遅ればせながら「閃光のハサウェイ」を観た。ちょうど良い時間の回がなく、図らずもドルビーアトモス初体験の作品になった。

ガンダムチャンネルを含めたプロモーションの打ち方と、予告映像のカットにかなり不安を覚えていたので、期待度的にはかなりマイナスだったが、結果的にはかなり見れる作品ではないかと思った。

まず画の撮り方に安定感がある。村瀬修功虐殺器官』で見せたシステムと個人の対立は、そのまま腐敗した連邦とマフティーになって顕れる。3DCGで描かれた社会に対して2Dセルの人物が為す抵抗という形式は初期のufotableが目指したところでもあるが、それを(マフティー自身の思想如何に関わらず)テロリズムに投影するかどうかが次回作以降の視点として挙げられるかもしれない。

脚本に関しても同様で、またぞろ福井晴敏のNT論をぶち上げられるのかと思っていたがそうでもない。ナラティブで忙しかっただけかもしれないが、今後(宇宙世紀100年計画だかなんだかの)ガンダムを撮る上で福井は癌にしかならないと本作で確信した。

さて、本題のマフティー=ハサウェイについて。結論から言うと、彼は「ETJ系になりきれないINFP」ではないかと思う。女性へのこだわり、反乱の動機(これは劇場版では変更があるかもしれないが、原作以上の着地点を知らないのでそのままであると思う)、極めつけはギギとの逃避行におけるわかりやすい葛藤。自分の美学に拘る内向感情型だ。

「銀英伝ロイエンタールや、ガンダム作品でいえば「鉄血のオルフェンズ」マクギリスが同じタイプだ。彼らにとってはETJ系第1機能、すなわち外向思考や論理性が武器に見えてしまう。だから無理に自分もそうなろうと思って、もしくは自分もそうだと信じこんで破綻した。

彼の精神性が最も現れたのが「父の存在」についてのケネスとの会話。機内とホテルとで真逆のことを話しているのが印象的で、極限状態における言葉"偉大な父がプレッシャー"が本音だとすれば、ホテルで少し茶化しての"悪いことばかりでもない、女の子が寄ってくるから"は明確に願望の表れだ。すなわち「ETJならこうする」のシミュレーションにしたがって出た言葉に過ぎないだろう。

あとこいつはメンヘラ好きすぎ。

作品には全然関係ないんですが、これ3部作か何かなんですかね。普通に1本のつもりで観に行ったので消化不良感があります。次はいつになるかな〜

そんなところです。